離宮天ぷら 三笑亭(大山崎)
京都府と大阪府の境界に、離宮天ぷらと乙訓たけのこ料理で知られる料理旅館「三笑亭」はあります。場所はJR山崎駅の南側にある駐輪場の前。駅を出て左手にある、郵便局横の道を少し行き駐輪場の横を通りすぎて本通り(西国街道)に出たところにあります。西国街道の山城の国(京都府)と摂津の国(大阪府)の国境に関所跡があり、その前で旅篭を営んだのが三笑亭の起源であり、以来、百余年を経て現在は4代目が店を継承されています。下の写真左が大阪府側から撮った三笑亭で、右のガードレールから伸びている標識が「京都府大山崎町」を示す標識です。
三笑亭の料理の主流は、自然に逆らわず四季を召し上がっていただくことだそうです。したがって、離宮天ぷらは一年通してやっていますが、たけのこ料理は春限定でやっておられます。どちらも山崎の味、名物として今もなお愛されています。カウンター席と、座敷席(部屋)とがあり、会合や宴会での利用もできるそうです(要予約)。
離宮天ぷらは、JR山崎駅前に鎮座する油の神様「離宮八幡宮」の御神油を頂いて天ぷらをはじめたのが好評で、口コミで広まったそうです。オススメは、昼食時間限定メニューの吸い物・デザート付きの「天丼」1600円。天ぷら好きの私ですが、カリッっと上がった揚げたてのサクサク感が最高でした!!素材の旨みもしっかり引き立てています。そして、デザートで出てきたのが右の写真のコレ。何だと思います?「山崎の天然水ゼリー」なんです。てっきり葛か何かと思いました。天然水ゼリーということなので、要するに何の味付けもしていないぜリー。それに餡子と黒蜜がかかっているのです。こんな料理は初めてでしたが、さっぱりとしていて、程よい甘さですっかり気に入ってしまいました(笑)
油の神様「離宮八幡宮」
JR大山崎駅前の道を少し行き、突き当たったところの右手にあります(徒歩2分)。非常に立派な神社で、正門である高麗門(下の写真左)は大山崎町指定文化財に指定されています。社伝によると平安時代に嵯峨天皇が建立した河陽離宮の一角に、貞観元年(859年)、奈良大安寺の僧行教が九州宇佐から宇佐八幡宮を勧請し、鎮座したのが当社の始まりだそうです。現在の社殿は明治時代に再建されたものです。
祭神:応神天皇、姫三神、酒解大神(または大山祗命)
由緒:平安時代初めの頃、清和天皇が、太陽の我が身に宿る夢を見給うた時のお告げにより、九州の宇佐八幡宮から神霊を奉じて帰郷した僧行教が山崎津で夜の山に霊光を見た。そこでこの地を掘ると岩間に清水が湧出したので国家鎮護のための「岩清水」の八幡宮をここに創建。ちょうど、嵯峨天皇離宮の地なので現在は「離宮八幡宮」と号している。幕末の「禁門の変」では長州藩屯所となったため、兵火で消失したものの、それまでは水無瀬川より円明寺に及ぶ広大な神領を有し、「西の日光」と言われるほどの宏荘優美な社殿を構えていた。(門前に立つ案内板から引用)
本殿左横にあるのが、この「岩清水」(下の写真左・中央)です。また、岩清水横には江戸時代初期に勝竜寺城主永井日向守が幕府の命令で当社社殿を造営した記念に奉献したという手水鉢がある(下の写真右)。林羅山がこの手水鉢を漢詩に詠み、「ひとすくいの水は心を清める」などと霊徳を称えています。
また、離宮八幡宮はわが国における製油の発祥の地でもあり、平安末期から鎌倉、室町時代にかけて油座の本所となり、油の神様として多いに栄えたという。清和天皇の頃に、当社の神主が「長木」という道具で「荏胡麻(えごま)」という植物を搾って油を採り、神祀りの灯火に用いたのがきっかけで、以後、油の製造と販売の中心「油座」として栄えることとなります。やがて、室町時代ともなれば、時の権力者と結びつき、大きな勢力を得、京都・大阪・奈良などの油の専売件を握るようになり、宮廷はもとより全国の社寺や一般の人々で、油と言えば山崎産のものを使わない人はいなかったといいます。「本邦製油発祥地」の石柱(下の写真左)が鳥居の右手にあります。下の写真中央は、境内にある神人像です。
下の写真右は、油脂販売業者の店頭標識です。離宮八幡宮は、油座の司として油商人に特許を与えてきたのですが、その遷座一千百年記念大祭を行ったときに同業者たちの要望で全国油脂販売業者の共通店頭標識がつくられることになりました。
下の写真の窪みに水の溜まった石は「かしき石」という岩です。平安時代の大山崎の地には、土佐日記にも出てくる相応寺というお寺があったそうです。このお寺は、僧正壱演(いちえん)が建立したもので、三重塔が立っていました。相応寺の衰退とともに、この三重塔も倒壊したのですが、塔の心礎だけが残されて伝えられてきました。これがこの「かしき石」です。ただ、後に、柱が建っていた円形の部分は手水として使うために扇形に再び削られており、相応寺の数奇な数奇な歴史を現しているかのようです。
モダニズム建築「JR山崎駅」
JR山崎駅は一見新しそうな駅舎に見えるのですが、実は昭和2年10月築の洋館風の木造モルタル造りなんです。これを知ったときは意外でした。とういうことは、当時としては、かなりモダンな建物だったんじゃないでしょうか。アーチ状の入り口と青い屋根がとってもお洒落です。
さらに、この駅は日本で唯一県境をまたいでいる駅でもあり、大阪方面ホームに京都府・大阪府の境界を表す枕木で作られた標識が立っています。また、山崎駅南側は線路は大きなS字カーブ(通称「山崎のカーブ」)になっており、鉄道写真の名所になっています。
一緒に見ちゃえ!関連スポット
・大山崎山荘美術館(京都府大山崎町)…JR大山崎駅から北西へ徒歩10分。無料送迎バス有り。
・サントリー山崎蒸留所(大阪府島本町)・・・JR大山崎駅から南西へ徒歩10分。
【三笑亭DATA】
住所:京都府乙訓郡大山崎町西谷1番地
電話:075-956-0217
【離宮八幡宮DATA】
住所:京都府乙訓郡大山崎町大山崎西谷21-1
電話:075-956-0218
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